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災害とリハビリテーション ― JRATの活動に学ぶ
東日本大震災から15年が経過しましたが、あの未曾有の災害の経験は、私たち医療・介護にかかわる者に多くの課題と教訓を残しました。特に、災害時における高齢者や障害のある方々への支援のあり方については、リハビリテーションの視点がいかに重要であるかが改めて強く認識されることとなりました。
震災直後、避難所の生活環境は厳しく、高齢者が動けなくなり、短期間で寝たきり状態に陥ってしまう事例が各地で見られました。震災から3日後、東北大学リハビリテーション科医師、瀬田
拓先生(当時。現 仙台市太白区 ないとうクリニック複合サービスセンター副院長)から、「避難所の生活環境が厳しく、このままでは高齢者が寝たきりになってしまう。リハビリテーションの視点で動ける人材を派遣できないか」という切実な電話連絡がありました。
この相談を受け、当時当協会の会長であった石川さんに相談したところ、石川さんは「わかった、なんとかするよ」とひと言残し、その後ヘリコプターをチャーターして日帰りで被災地を視察されました。そして、協会内で医師・療法士・看護・ケアスタッフによる合同チームを募り、現地へ継続的に派遣する体制を迅速に整えたのです。その決断と行動の速さには、ただただ驚かされるばかりでした。
石川さんの姿勢を振り返ると、「忘己利他(もうこりた)」の精神、そして状況を見極めたうえで即断即決し行動に移すリーダーシップの重要性を改めて感じます。
この活動が後に発展し、現在のJRAT(一般社団法人 日本災害リハビリテーション支援協会。栗原正紀代表)へとつながっていきました。JRATは、災害時にリハビリテーションの専門職が組織的に被災地支援を行う仕組みとして全国に広がり、現在では多くの災害現場で重要な役割を担っています。
災害時には、急性期医療だけでなく、避難生活の中で身体機能や生活機能の低下を防ぐ視点が欠かせません。まさにそれは、私たち回復期リハビリテーション医療が日常的に取り組んでいる課題でもあります。被災地においても、「生活を支える医療」としてのリハビリテーションの役割は極めて大きいものがあります。
近年、日本各地で自然災害が頻発しています。今後も災害時におけるリハビリテーション支援体制の整備はますます重要になるでしょう。回復期リハビリテーション病棟協会としても、JRATをはじめとする関連団体と密に連携しながら、災害時においても生活機能を守る医療の実践に貢献していきたいと考えています。
災害はいつ起こるかわかりません。その時に備えて日頃からネットワークを築き、支援の仕組みを整えておくことが、私たちにできる大切な準備ではないでしょうか。
2026年3月11日
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